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人工透析に使う透析液について(第4回)
2020.03.12

人工透析に使う透析液について(第4回)

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 透析治療においては大量の透析液と血液が半透膜を介して接し、逆濾過現象によって透析液が血液内に流入する可能性が極めて高いので、透析液は清浄化する必要があります。

 汚染された透析液の場合には細菌や、細菌が死滅した時に発生するエンドトキシン(細胞内毒素)が血液内に混入しているとさまざまな反応を引き起こします。

 急性反応としては、発熱・血圧低下・呼吸苦・血液凝固など、慢性反応としては、貧血・慢性アミロイドーシス・栄養障害・動脈硬化などさまざまな透析合併症があげられます。

 そのため透析液を清浄化し、細菌やエンドトキシンを混入させないことが安全な透析治療と最大限の治療効果を得るために重要となります。

 特にオンラインHDFを行うためには透析液の無菌化・無発熱物質化(無エンドトキシン化)が必須となります。


 透析液の水質基準は、日本透析医学会 透析液水質基準において定められています。

  エンドトキシン活性値 正菌数
透析用水 0.050EU/ml未満 100CFU/ml未満
標準透析液 0.050EU/ml未満 100CFU/ml未満
超純粋透析液 0.001EU/ml未満 0.1CFU/ml未満
オンライン補充液 無発熱物質(無エンドトキシン) 無菌
日本透析医学会 2016年版透析液水質基準より抜粋


透析液の清浄化には以下のような効果があります。

  • CRP(炎症反応)値の低下により慢性炎症の改善
  • β2-MG値の低下(透析アミロイドーシス)
  • 透析アミロイドーシスによる手根管症候群の発生の軽減
  • 貧血の改善やエリスロポエチンの反応性の改善
  • 低たんぱく血症や栄養状態の改善
  • かゆみやイライラの改善


 透析液は原水(水道水)を浄化装置により精製し(前述した水質基準を満たす精製された透析用水と)それに粉末透析剤を溶解もしくは透析剤原液を希釈して作製します。

 透析時間にもよりますが、1回の透析で1人に約150~200リットルの透析液を使用します。

 当院の透析剤は「カーボスターR」という製剤を使用しており、酢酸を含んでおらず、重炭酸ナトリウムを100%配合した透析製剤です。

 酢酸には心機能抑制作用や抹消血管拡張作用による血圧低下があり、「カーボスターR」には以下のような臨床効果が報告されています。

  • 透析中・透析後の血圧低下の改善※1
  • CRPの低下※2
  • 透析後の倦怠感改善・消失※1
  • 食欲亢進※3
  • 代謝性アシドーシスの是正※4
  • 貧血の改善※5


 当院の透析液の水質管理は表に示した日本透析医学会 透析液水質基準に準じて以下のように実施しています。

 また、透析液濃度が適切に作製・供給されているかA・B剤溶解装置、透析液供給装置でA・B原液、透析液の電気伝導度を監視し、透析ごとに末端透析装置で透析液を採取し透析液濃度が適切な値かチェックしています。


①透析用原水

 東京水道局及びビルで行っている水質検査値を確認し、使用している水道水(供給水源)が水道水質基準を満たしているか季節ごとに確認。また、RO装置で軟水処理、活性炭処理が適切に行われているか、透析施行日に処理後の原水硬度・残留塩素(DPD法)をチェックし、検出されないことを確認しています。


②透析用水

 水質基準のエンドトキシン0.050EU/ml未満、細菌数100CFU/ml未満であることを毎月測定して確認しています。


③透析液

 オンライン補充液の水質基準であるエンドトキシン0.001EU/ml未満(無エンドトキシン)、細菌数検出なし(無菌)であるか末端透析装置で毎月検査を行っています。32台ある各透析装置を年1回以上検査するように計画して実施しています。

 オンラインHDFを実施できる基準を満たした超純粋な透析液(オンライン補充液)を作製・管理することにより、安全で高品質なオンラインHDFを実施しています。



次回は腹膜透析療法について説明する予定です。


《過去の記事》


《参考文献》

  • ※1「診療と新薬」(第49巻・第1号)別刷、2012.1.28(1月号)発行、医事出版社、21-23
  • ※2 Tomo T,Matsuyama K,Kadota J,et al.Biocompatibility of Acetate-free On-line HDF‐Effects on prognostic factors for cardiovascular complications in hemodialysis patients.腎と透析.2010;69(別刷):29-33
  • ※3 Matsuyama K,Tomo T,Kadota J.Acetate-free blood purification can impact Improved nutritional status in hemodialysis patients. J Artif Organs.2011;14:112-9
  • ※4「診療と新薬」(第44巻・第3号)別刷、2007.3.28(3月号)発行、医事出版社、19-21
  • ※5 Effects of acetate-free citrate-containing dialysate on metabolic acidosis,anemia,and malnutrition in hemodialysis patients.Kuragano T,et al:Artif Organs (3):282-290,2012 John Wiley and Sons,Inc

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